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泥だんご作って泥だらけになって怒られたのも、砂のお城を作って綺麗な服を汚したのも、何をするにも一緒だったからな。
いつの間にか、惹かれていたんだ。
でも俺はこの気持ちを伝える気はない。
今の関係を壊したくないし、ラルフには笑っていてほしいし、それに―――――――
所詮、落ちこぼれだから。
「きゃっ」
とんっと、誰かにぶつかった。…考えながら歩くのって案外危険だな。周りが見えなくなる。
「ご、ごめんなさい…!……って、Dクラの落ちこぼれじゃん」
ぶつかって、損した。
そう聞こえたような気がした。
頭に、ハンマーで殴られたような衝撃が走る。
…大丈夫だ、俺。こんなの慣れてるだろ?気にするな。大丈夫、大丈夫だ。
「あーマジ最悪。落ちこぼれが移るわ」
意図的にぶつかってきた女は、どうやら裏表が激しいらしい。
最初はぶりっ子みたいな気持ち悪い声を出していたのに、今ではこんなDEATHな声をしている。
女は、汚れていないはずの制服のスカートとワイシャツをパンパンと叩いて人ごみに消えていった。
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