図書室と私と…

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* * * * * * *  ガラリ、と少し古いドアが音をたてる。 「あ、城島さん。こんにちは」  美里亜が、ある教室のドアを開けると、男子生徒が一人―――校庭の良く見える窓側の椅子に座り、自分の名字を呼んだ。 「こんにちは」  いつもの事のように、表情を一つも変えず挨拶を返す。  そして、静かにドアを閉めると、古い紙の匂いが鼻の中に流れ込んでくるのがわかる。  美里亜はこの匂いが好きだ。
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