序章

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勇者「でも、この場合、違うだろう」 魔王「違うとは?」 勇者「中央大陸の国家は、戦争で疲弊した『南部諸王国』に  善意からお金を送ってるんだ。結果として、その物流?  が良くなったとしても、送ったお金は自分の物じゃないか」 魔王「ふむ」 勇者「つまり特産品同士を交換してるわけじゃない」 魔王「してるんだよ」 勇者「与えているだけじゃないのか?」 魔王「『南部諸王国』は、中央大陸に安全を  輸出しているんだ。つまり、戦争で血を流して  人間世界を防衛することでお金を得ている。  ――見たことがあるんだろう?  人間世界の『全て』が戦火にまみれていたのかい?」 勇者「……」 魔王「新しく発明された馬車、豊かな光、豊富なご馳走  毎晩のように舞踏会を開いている国はなかったかい?  ブドウ畑で酔いしれている貴族はいなかったかい?」
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