序章

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勇者「……それは」 魔王「つまり、そういうことだ。人間社会は  『南部諸王国』の巨大消費と防衛ラインという存在に  現在依存しているんだ」 勇者「い、ぞ……ん?」 魔王「そうだ、頼っている。溺れているというような意味だな」 勇者「でも、大多数の人間は戦う力なんて持っていないんだ。  そのためには、『南部諸王国』の戦士団や騎士団に  守ってもらい、せめて食料を送るしかない。  その何処がいけないって云うんだよっ!!」 魔王「まぁ、感情的にはそれが真実だろう。  そこまで否定したりはしない。  でも同時に、経済的にこの市場が無くなると  人間社会の物流や為替が破滅するのも確かなことだ」 勇者「破滅……?」 魔王「そうさ。その資料にあるだろう? これだけの巨大消費がなくなったら、中央大陸の生産者は  大ダメージを受ける。特に鉄鋼業や造船業がね。  このダメージは波及して、数十万の死者がでる」
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