『サンタさんへのお手紙1』

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今年も、クリスマスがやってきました。 『僕んちには、煙突がないのに、サンタさんは、どこから入ってくるのかな?』健太くんが聞きました。 洗濯物を干しながら、お母さんは、 『サンタさんは、魔法が使えるから、どこからでも入れるの』 『たった一日で、どうやって世界中に、プレゼントを配れるのかな?』 『トナカイさんが速いからよ。魔法を使ってるから、飛行機よりロケットよりも速いの』 洗濯物のシワを、パンパンと伸ばしながら、お母さんは答えました。 健太くんは、 『何でサンタさんは、欲しいプレゼントが分かるのかな?』 健太くんは、お母さんの背中に聞きました。 洗濯物を干し終わったお母さんは、 『サンタさんは、良い子のお願い事は、何でも分かっちゃうの』 『だから健太も、良い子にしてないと、欲しいプレゼントはもらえないの』 健太くんは、分かったような、分からないような顔をして、空を、すーっと、二つに切ったみたいな飛行機雲を、眺めています。 飛行機雲は、お尻から、だんだんと消えていきます。 もしかして、あの飛行機雲は、サンタさんの通った道なのかな? そんな事を考えながら、健太くんは、去年のクリスマスを思い出しました『健太はクリスマスプレゼント、サンタさんに何をお願いするの?』 お母さんが、台所から聞きました。 『あのね、同じクラスの陽平くんがね、持ってるゲームが欲しいんだ』 『ゲームなら、持ってるでしょう?』 『違うやつだよ。他の子も持ってるんだよ』 お母さんは、エプロンで手を拭きながら、 『じゃあ、今度のマラソン大会で、十番に入ったら、サンタさんに、お母さんからお願いしてあげる』 『やったー!』 健太くんは、もう喜んでます。マラソン大会は、まだ始まってもいないのに。 マラソン大会は、十番どころか、後ろから二番目でした。 けど、明日はクリスマス。朝になったら、ゲームがもらえると思うと、なかなか眠れません。 けれど、いつの間にか眠ってしまいました。
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