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朝です。
ガバッと、健太くんは枕元を見ました。
そこには、リボンの付いたプレゼントが置いてあります。
健太くんは、ドキドキしながら、急いで包んである紙をビリビリと破りました。『お願い、ゲームがありますように』
目をそっーっと開けると…箱の中身は、真新しい文房具セットでした。
健太くんは、ドカドカと階段を降りて、朝ごはんを作っているお母さんに、
『ゲームじゃなかった』
と、ふてくされて言いました。
お母さんは、振り向いて、『けど、サンタさんからプレゼントもらったでしょ?』
健太くんは、ふてくされたまま、
『あんなの欲しくない』
『サンタさんの嘘つき』
健太くんは、泣き出してしまいました。今年も、クリスマスがやってきました。
けれど、マラソン大会で十番に入る自信は、健太くんにはありません。
晩ごはんを作っている、お母さんに聞きました。
『僕、サンタさんに、お手紙を出す』
『だから、サンタさんの住所を教えて?』
お母さんは困ってしまいました。
『お母さんは、住所までは知らないわ』
『じゃあ、トナカイさんの住所でもいいよ』
お母さんは、もっと困ってしまいました。
『お手紙を書いて、どうするの?』
健太くんは、
『サンタさんと約束するんだ。良い子にするから、ゲームを下さいって』
お母さんは、クスッと笑って、
『サンタさんは忙しいから、お手紙を出しても届かないと思うな』
『ゆうびんきょくの人も分からない?』
『サンタさんは、ずっとずっと遠くに住んでるから、分からないと思うわ』
健太くんは、涙を浮かべています。
『けど、お母さんは、サンタさんに、お手紙を届ける方法を、ひとつだけ知ってるわよ』
『本当に?』
健太くんは、泣き止んで、お母さんに聞きました。
『じゃあ、サンタさんへの、お手紙を持ってきて?』健太くんは、大事そうに、四つ折りにした、ノートのお手紙を持ってきました。そこには、
『僕はこれから、良い子になります。鉄棒や跳び箱が失敗しても、泣きません。それに、お母さんのお手伝いもします。だからゲームを下さい』
と、書いてあります。
お母さんは、またクスッと笑いました。
『じゃあ、サンタさんに、お手紙を届けるから、お庭に出ようか?』
健太くんは、なんで庭に行くのかな?と不思議に思いましたが、お手紙を届けるためです。
外はすごく寒いけど、我慢して、お母さんと一緒に、庭に出ました。
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