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『夜じゃないと、サンタさんには、お手紙が届かないのよ』
お母さんが言いました。
『何で?』と、健太くんが言う前に、お母さんが話しました。
『サンタさんは夜、世界中をまわってるの。だから、昼間は疲れて眠ってるのよ』
そう言うと、お母さんは、マッチに火を点けました。
『駄目だよ!何でお手紙を燃やしちゃうの?』
健太くんは、お母さんのマッチに、フーッと息を吹きかけ、火を消しました。
『お母さんも、ゆうびんきょくの人も、サンタさんの住所を知らないのよ?』
『けどね、お手紙が煙になったら、ずっと遠くのサンタさんにも、お手紙が届くの。』
健太くんは、そっかー、と思いました。
お母さんが、健太くんの手紙に、マッチで火を点けました。
チリチリと、お手紙に火が点いて、まだ紅い灰が、雪の降る、真っ暗な空に向かって、ホタルのように、飛んでいきます。
健太くんは、いつまでも、いつまでも、真っ暗な空に飛んでいく、お手紙を眺めていました…。
健太くんのお手紙は、煙になって、きっと今ごろ、サンタさんに届いたことでしょう。
そして、明日の朝には、健太くんの枕元に、サンタさんから、約束通りのプレゼントが、そっと届けられているに違いありません。
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