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ところ変わって田宮は今、道場にいた。
今日は田宮が所属する一番組に市中の見廻りはない。そのため、本日は道場で稽古だ。他の隊も稽古に来ているので、道場は掛け声やら怒声やらで賑やかだ。
「はい、次!」
竹刀を片手に沖田は次に稽古を待つ隊員に促す。よろしくお願いしますと進み出た隊士はものの十分もしない間に、沖田にのされてしまった。
「反応が遅い!実戦なら首が飛んでますよ。次!」
シュンと項垂れて下がる隊士と交代で今度は田宮が進み出た。
すると沖田は不適に笑みをこぼす。
「組長。それ、止めて下さい。戦闘狂に見えます」
「誤解ですよ。僕はただ田宮さんと手合わせするのは久しぶりだなと思っただけです。平隊員で田宮さん程、腕の立つ方は少ないですから」
「だからそれを戦闘狂って言うんですってば……」
沖田に聞こえないようポツリと溢し、短く溜め息を吐く。竹刀を下ろしていた沖田が構えたのを合図に、田宮は強く一歩を踏み出し彼にかかっていった。
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