お菓子業界の陰謀の活用法について

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   【作戦3】  用意するもの。  手作りの野球のバット型チョコレート。  『大ちゃん…フスッ…とんまを甲子園に連れてっキャハハハ』  『キモい』  【作戦4】  用意するもの。  ペットボトルに溶かしたチョコレートを注ぎ込んだもの。  『先生! 溶かしたチョコレートは飲み物に入りマスネ!?』  『冷えて固まってんじゃねぇか』  「何これ何だコレ!!」  私は思わず一人で叫んだ。  意味と趣旨がわからない。それどころか完全に論理も道理も何もかも破綻している。  まさに混沌(カオス)。  しかしここまで思考回路が異常になっているのには理由がある。  只今の時刻は、14時30分。つまり、ご飯をお腹いっぱい食べて丁度心地よい眠気が襲ってくる時間なのだ。  「ダメだ眠い!!! 寝る!」  私は部屋のベッドに飛び込んで、即座に眠りに落ちた。  ふんわり、ふわふわ夢の中。  部室の隅で膝を抱えている私。  すると突然開いた扉にぶつかり、振り向くと松井が少し驚いた表情をして立っていた。  『痛い……』  『悪かったな…………ていうか、何でそんな所で泣いてんだよ?』  ああ。あったなぁ、こんなこと。  確か半年前、私は部活の仕事でヘマやらかして泣いてたんだっけ。  『……何でもないし』  そう。そこを偶然松井に見つかって。  私は恥ずかしくて再び膝に顔を埋めたんだ。  『そうかー俺相手じゃ話したくないってか』  『別にそんなんじゃ……』  だけど、気を悪くさせたかと思い、顔を上げた。  そしたら、私に合わせて松井もしゃがんでいて。  覗き込んできた顔が妙に近かった。  『で……どうしたんだ? 言ってみろって』  そこには優しい、柔らかな笑顔が、あったんだ。  あれ? あの時のあいつは、こんな風に笑ってただろうか。  夢の中、だからかなぁ。  そもそも何で私こんな夢見てるのさ。  ああ。寝る前にあいつのことばかり考えてたからか。  あれ? 何であいつのこと考えてたんだっけ?  ああ。義理チョコあげるからだった。だったら早く起きないと。  あれ? そもそも何で私はこんな必死になって、あいつにチョコあげようとしてるんだっけ?  ああ。いつも一緒にいるからか。   あれ? 何で、私は――――……  
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