01.桜日

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生徒玄関前に毎年貼られるクラス編成の紙には、例の如く人だかりが出来ていた。 一喜一憂。 まさにその表現がピッタリ合うような光景が目前に広がっている。 「えーと…あ、私はA組だって!」 樹佑が隣で叫ぶように言った。 「あ、じゃあ私は…」 A組から順に、と眺めていると樹佑の名前から一個飛ばして私の名前が。 「あ、樹佑と一緒のクラスだ」 「え、本当!?やったあ!!」 飛び跳ねて私達は喜び、私は再度クラス表に目をやった。 何気なく男子の名前も確認する。 そして、とある名前の箇所で私の目は釘付けになった。 立木和斗(たちぎかずと)。 その名前は、私が中学一年生の時に好きだった人の名前だ。 まさか、一緒のクラスになるなんてなあ。 そういえば一年生の時はよく話し掛けてきたっけ。 それがきっかけで好意を抱いたんだ。 懐かしい。 まあ一年もブランクがあるから流石に話し掛けてはこないよね。 私も今は別に好きじゃないし。 「茜、どうかした?教室行かないの?」 「あ、ぼーっとしてた。じゃあ行こっか」 「うん、行こう」 しまったしまった。 思い出に浸ってる場合じゃなかった。 立木君のことは良い思い出として胸にしまっておこう。 あんまり恋愛話は得意じゃないから、一々話に出したくもないし。
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