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ニット「今日は……今日は、邪魔が入ってっ……」
ロスト「言い訳は金の足しにゃあならねぇんだよ、ぼっちゃん」
意を決したように開かれた口が再び閉ざされた
ロスト「お前の母ちゃんを取り返すのに必要なモンはお前のその減らず口か?ん?どうなんだ?」
唇を噛み締めたままふるふると首を横に振るニット
ロスト「そうだよなァ?」
ロストが楽しそうに口を歪めて笑い、ニットをさらに追い詰める
ロスト「じゃあお前の母ちゃん助けんのに必要なのは何だ?言ってみろ」
ニット「……お金、です」
ロスト「そうだ、その通りだ」
金だよ、金。そう何度も、植え付けるかのようにロストは『金』と繰り返す
ロスト「金がねェだなんて話になんねぇ……だがな?お前はまだ諦めちゃあ、いねぇんだろ?」
ニットが小さく頷く
肯定の意を示した彼にロストが次に告げた言葉は
ロスト「いいコトを教えてやんよ。この世で一番手っ取り早く、簡単に、誰でも稼げる方法……何だかわかるか?」
ニット「……盗みか?それだったら今日も……」
ロスト「いいや、ちょっと違う……そんなちまちまやるんじゃなくて、もっとごっそりやりゃあいいんだ」
ニィ、と歪んだ
ロスト「全部奪っちまえばいいんだよ……命ごと、ごっそり、な」
野蛮な悪魔の提案だった
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