水に流せば万事OK

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◆◇◆◇◆ 「よォ……ンで、本日の成果は?」 ひっそりとした裏路にキィ……と忍んだ音が響いた 廃墟となった酒場。もとから決して明るい店ではないらしかったこの店に屯する者達がいた 亀裂の入った黒い逆十字を抱える大熊の入れ墨 『逆神ノ熊』 最高神でありながら天界に牙を剥いた邪神アダムを祀るアダム教信仰者の一派……とされながら、その実態は都合の良いように破壊神を祀り犯罪行為を理不尽に正当化する犯罪集団である そんな者達のリーダー、ロストを前に少年──ニットは覚悟を決めたように口を開いた ニット「……これで全部だ」 ロスト「どれどれ……?……何だァ?これっぽっちか?」 渡した袋に入れられた金品を除き込み、ロストの眉間にシワがよる しかしそれは程なくして、意地の悪い悪意の笑みへと変わった ロスト「たったこれっぽっちじゃあ……母ちゃんを買い戻すだなんて到底無理だろうなァ?」 ニット「っ……」 ぎりり、と唇を噛み締めるニットにロストはその笑みを更に歪ませた ロスト「なんてったってミスティフェアリーだ……希少種中の希少種。目玉中の目玉商品だぜェ?」
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