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「今夜、雪んとこ行くけど、美夜も行くか?坂井さん、今忙しいらしくて帰れないみたい。あいつ、臨月だし、そろそろ産まれるぜ」
男女の友情は成立しない、なんて言うけど、滋と雪ねぇは成立している。今でも仲良しだ。
「分かった。行く。祐にぃにもメールしとくね」
「じゃ、先に行ってあげて」
「オッケー!」
電話を切って私は顔を上げると、雅美はニヤニヤ笑って、
「お泊まり?」
と尋ねてくると、私は唇を尖らせて雅美を見つめて頭を横に振った。
「ハズレ!」
香織と雅美はつまらなそうに肩を落としていた。
*
新しい命の誕生。
凛凜ちゃんが産まれた時、私はすごく嬉しかった。お姉ちゃんの希望が、形となって現れたような気がしたから。
祐にぃも嬉しそうだった。みんなが、幸せな気持ちになった。
あんなに小さな赤ちゃんが、こんなにみんなに幸せを与えてくれるなんて、素晴らしいって思ったっけ。
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