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「滋……」
神父も咳払いをしている。
美夜と滋は同時に神父を見て、またお互いを見つめあった。
「美夜。俺たちは、ここまでじゃない。これから、だよ。ここが、ゼロ地点だ」
滋の言葉に励まされ、美夜は涙が止まらず、参列してくれている人たちの顔を見つめた。ここにいる誰もが、私を愛し、守ってくれた。辛いとき、励ましてくれた。
ここから、私は歩き出せる?
美夜は涙が止まらなかった。
すると。
『歩き出しなさい。美夜』
と声が聞こえた。
美夜は顔を上げた。
教会の後ろに、眩しいステンドグラスの光に照らされた姉の姿を見た。
お姉ちゃん……!
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