1 新しい生命

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これからは、家族として。 ヘタレなやる気ないオッサン刑事だけど、本当は誰より雪ねぇのことが好きなんだよね。素直じゃないんだから。世話の焼ける、手のかかる大人たちです。 * 私と滋が恋人同士になってから、3年の月日がゆっくりと流れた。 滋は相変わらずアパレル関係の仕事を続けていて、店長として店を転々としていた。 静岡のおばあちゃんと一緒に暮らしていた私は、おばあちゃんに背中を押されて、東京の短大を受けたんだ。 だけど高校の卒業を待たずに、おばあちゃんは亡くなった。あんなに元気だった病気知らずのおばあちゃんが、心不全で倒れてそのまま静かに息を引き取った。 あまりに突然過ぎて、悲しむ余裕もなかった。泣いたのは、告別式で祐兄さんや滋、雪ねぇ、坂井さんたちが集まった時。 みんなの顔を見たら、緊張の糸が切れて涙が止めどなく溢れてきた。
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