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おばあちゃんが亡くなって、私は短大に通うために東京に上京してまた祐にぃと暮らし始めた。
遠距離恋愛だった私と滋は、隔てるものもなくて自然に歩み寄り、前以上に仲良くなれたはず……だった。
けれど、まだ私と滋はエッチをしていない。
怖い、のかも……。
お互いを抱き締めながら眠っても、滋は私を求めてこない。
やっぱり、汚れてるのかな。
過去の事件。
拭いたくても、拭いきれない事件。
あの事件を全く知らない人とのほうが、うまくいったのかもしれない。いくら幼かったとはいえ、私は義父に虐待を受けてきた。
暴力から、性的なものまで。
お姉ちゃんが命をかけてまで守ってくれた私の未来は、まだ色をつけられずに胸の奥でくすぶっている……。
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