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グイッ…
先に歩いてたら急に手を引っ張られた。
「俺の横歩いてよ…。
…俺が引っ張られてたら餓鬼みたいでしょ…。」
……?
「ぶっ…そ、そんなこと気にしてるの?」
思わずふいてしまった。
確かに岳君は空音ちゃんと似た顔付きで童顔だけど…
さすがに私より高い身長で子供に見られることは無いと思うんだ…。
「童顔で悪かったな。」
あ……気にしてたんだ…。
「年上ファンが多くて悪かったな…。」
…根が深そうだね…。
「女顔で悪かったな!!」
「ごめん…。」
そこまで気にしてるとは…。
「仕方ないだろ…母親が美人過ぎたんだよ…。」
なるほど…。
「お母さん…凄く綺麗な人だったんだろうな…。」
「そりゃあ…もの凄くね。
料理も上手だったし…自慢の母だったよ。」
そっか…岳君と空音ちゃんには両親がいないんだったよね…。
「…でも岳君だってカッコいいところあるでしょ?
数日前テレビで岳君見たけど凄くかっこよかったもん。
歌ってる時が一番幸せそうだしね。」
なんていうか…blackと対張ってるっていっても、凄く楽しいんだろうなって思うほど顔が生き生きしてた。
「…歌ってるとさ…別の世界にいるような気分になるんだよ…。
里桜も音楽聴いたりするときとか、なんていうかこう……自分の心に変化がない?」
「…ラブソングはドキドキしたり…とか?」
「そうそう。
小説読んでるみたいに歌詞にジッと耳を澄ませたら、作詞した人はどんな気持ちで何を思って、何を経験して書いたのかな…って…。
作詞した人の感情や考え方…性格まで出てる気がする…。」
「そうだね…。」
時には悲しい歌で自分も悲しくなったり、励まされてやる気が出たり、恋焦がれて切ない気持ちになったりとか…。
「聴いてて共感してくれる人達を考えると楽しくて仕方がない。
だからこの道に入ったんだよな…。
最初は純粋に歌が好きなだけだった…。
でも、結局は小さいけど目的や目標に向かうのってなんかウキウキするんだよね。」
だから岳君はあんなに生き生きしてるんだね。
目標に向かって歩くとしたら、今の私はどこに向かって歩いているのだろう?
ふと疑問に思ったんだ。
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