贈り物→有名人?

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―里桜side― 夜が更けて就寝時間になっても眠ることが出来ない…。 熱愛報道になったのは二度目だしなれたようなものだけど… 「観ちゃったかな…。」 未麗さんも…。 「………眠れないの…?」 「あ…ごめんね、うるさいよね…。」 そうだ…今は私一人じゃないんだ…。 独り言って癖なんだよな…。 「…ちょっと外行ってくるね。」 「………。」 ベッドからおりて外に続く廊下を歩く。 なんか…随分真っ暗だな…。 皆寝静まった邸は広すぎて不気味だった。 窓から見える木の影は首のない人のように見える。 長く続く廊下は暗黒の世界への入り口みたいだし…。 それに加えて静かすぎる空間がさらに恐怖感を煽っていた。 スタスタ… ぇ!? 誰かの歩く音が後ろから聞こえて体が強張った。 スタスタスタ 「……っ。」 足音から逃げるように震える足を必死に動かした。 タッタッタッタッ… 「!!」 走り出す足音に心臓が痛いくらいに早くなる。 「っ…キャーー!!」 肩に触れた何者かの手。 条件反射で声が出た。 「里桜!? 大丈夫?」 知っている声に安心して素早く抱きついた。 「どうした!?」 反射的に目から涙が溢れた。 「…岳君!! ……こ…怖かったぁぁ…。」 抱きついたまま一気に脱力した私は、腰が抜けてそのまま座り込んだ。 「こんな時間に何やってるのさ?」 「ぁ…その…外の空気にあたってこようと思って…?」 差し出された手をとって立ち上がりながら苦笑した。 「その格好で?」 「え…? うん…。」 なんかおかしいかな…? 「馬鹿? 風邪ひいたらどうするの?」 馬鹿とは失敬な…!! 「ほら、行くよ。」 繋がれてた手がグイッと軽く引っ張られた。 行くって… 「どこに?」 「…外行くんでしょ? 付き合ってあげるって言ってんの。」 ……? 「里桜の為じゃない。 俺もちょうど庭園に用事があっただけだから。」 こんな時間に? 「…クスクス、ありがとう。」 怖がってたの…バレバレだもんね。
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