はじまり

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ああ、ついてない。 「…電車、行っちゃうし。」 ぼそりと呟くあたしを尻目に、いつも通学に使っている電車はだんだんとその姿を小さくする。 走れば間に合ったのにな。 でも、このうだるような暑さの中走るなんて、無理。 「あーもう。夏なんて嫌いだー。」 真っ青に晴れ渡る空に嘆いてみたが、すぐに太陽の日差しに仕返しされてしまう。 「…あつ。」 すごすごと、冷房の効いている待合室に逃げ隠れる。 次の電車…20分後か。 扉を開けると、ガラス一枚で隔てているとは思えないほどの外との温度さにぶるっとする。 腕を摩りながら待合室の椅子に座った。 .
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