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でも千鶴は疑う気持ちを抑えてずっと信じててくれてたんだよね
でも今日になってそれが抑えきれなくなっただけ
溜め込んでればいつかは爆発するのは当然
疑われるようなことをしてた私が悪いんだよね
「……疑われても仕方ないと思う
けど、あとちょっとだけ信じてくれない?
本当にあとちょっとだけ
私は本当に千鶴が好き
千鶴しか愛せないって、信じて」
「無理よ、無理無理!!
もう信じられないの……
信じたいけど無理なの……」
ひどい顔になってる
すごくつらそうな顔
分かってる
千鶴は今すごくつらいんだって
千鶴の気持ちはよく分かる
けど、信じて欲しい
「……ねぇ優姫」
私が何かを言う前に千鶴がそう呟く
さっきまでとは打って変わってすごく静かな声
落ち着いたってわけではなさそうだけど
「別れましょう、私達
もう無理よ
妻が信じてって言ってるのに信じてあげられないなんて、優姫の妻失格だもの
このまま一緒にいたってお互いに苦しいだけよ
だから――」
「ちょっと時間ちょうだい
全部打ち明けられる日が来るから
千鶴もちょっと頭に血が上っちゃってる
だから、ちょっと時間をちょうだい
全部打ち明けて、それでも信じられなかったら、その時は――」
それ以上は言わない
言わなくても分かるから、それに
言いたくないから
「そうね、頭を冷やす時間は必要ね
でもその、優姫が言うその時まで私は優姫に会わない
会ったらまた責めちゃう、疑っちゃう
だから次に会うのはその時
じゃあ、またその時ね」
千鶴はそう言って部屋を出て行く
どこに行ったんだろう
まぁきっと他の使ってない部屋かな
私も部屋を出る
それで自分の部屋に戻る
寝室には行けない
行っちゃ駄目な気がする
部屋に戻って壁を見る
千鶴の写真が壁一面に貼ってある
それを見てると涙がこみ上げてくる
もし全部話して信じてくれなかったら……
そんな最悪の想像をして勝手に涙があふれてくる
「うわああああああああああああああああああああああん」
声に出して泣きたかった
こんなに大きな声出したら、きっと千鶴に聞こえちゃってるけど、泣きたかった
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