番外編:後悔

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番外編:後悔

「優姫は何かをすごく後悔したことある?」 千鶴はまた不意にそんなことを尋ねる 後悔、か ちょっとした後悔ならいくらでもある でもすごく後悔した、ってなるとないかもしれない 「千鶴はあるの?」 尋ねるんだから千鶴はあるんじゃないかな? そう思って聞いてみる 「あるわ 後悔してもしょうがないことなんだけど どうしてもう少し早く優姫に会えなかったのか、後悔してる」 それは私も思ったことある もうちょっと早く千鶴に会えてたらな、って でも私は後悔はしてない あの時会えてよかったって思ってる 「私はね、あれでよかったって思う 過去の積み重ねがあって私達は今こうしてるわけだし ちょっとでも違ったら全然違う関係だったかも知れないじゃん 仮に街で会ったとして、私達って会えてたかな? 私が学園に幼等部からいたとして、恋人になれたかな?」 もしかするとそんな私もパラレルワールドにはいるかもしれない その私は本当に千鶴と付き合ってるのかな? もしかすると江美お姉様と付き合ってるかもだし、奏ちゃんってこともある 早苗お姉様かもしれないし結衣お姉様かも この私は千鶴を心の底から愛してるけど、違う自分は違う誰かを心の底から愛してるかも 「そうよね、過去を後悔するよりも今あるこの現実よね 今幸せなんだから関係ないわね」 「うん、そうだよ 後悔はないけど、私すごく嬉しかったことならあるの 産まれてきて、生きてて一番嬉しかったこと」 「それなら私もあるわ」 千鶴はそう笑う きっとそれは同じ出来事だと思う 私達は笑い合って、確認はしない お互いに分かってるから 確認する必要なんて無いんだ そんな幸せな日の一コマ
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