序章:呼び方

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私はお風呂を沸かす準備をする っていうよりボタン一つで沸いちゃうんだけど 全自動ってやつね こういうの楽で良いよね 私はボタンを押してお姉様の所に戻る きっとお姉様のことだから寝室にいるよね? 寝室に入ると思った通りお姉様がいる 私の写真がプリントされた抱き枕を抱いて横になってる あれ恥ずかしいからやめてほしいんだよね…… 本人がいる前でそんな抱き枕を抱いて寝るかな、普通…… それに朝起きると私が抱き枕になってたりするしね 「おかえり、優姫 突然だけどこれ読んでみて」 お姉様は私が寝室に入ったのに気付くと起き上がって一枚の紙を差し出す 何だろうって思って見てみるとただ『ちづる』って書かれた紙 これがなんだろう 「なんですか?これ……」 「いいから声に出して読んで」 んーこれを声に出せばいいの? ――ってもしかしてお姉様どうしても私に呼び捨てで呼ばせたいからこんなこと? なんだかお姉様らしくない考え方だな…… お姉様ならもっと頭の良い方法を思いつくでしょ まぁいいや、読んでって言ってるんだから読もう 「『ちづる』」 「……んー何か違うわ」 そりゃそうでしょうとも 私すごく棒読みで読んだもん いつも心を込めてる『お姉様』とは全く別物だもん
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