序章:呼び方

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私だってお姉様とキスやその……えっちしたいよ 「呼べばいっぱい愛してくれるんですよね? 純粋な意味で」 「どんな意味でも愛してあげるわ」 うぅ、どうしたものだろう…… 今呼んじゃえばいつだってキスでもえっちでも出来て 呼ばなかったら全部おあずけ だったら呼んじゃった方が楽になるんじゃないかな ただ呼び方を変えるだけじゃない 「それじゃあ、ち、ちづ……」 ――違う ただ呼び方を変えるだけなんて思ったけど全然違う 普通呼び方をかえるだけでこんなに緊張しないもん 友達を呼び捨てにするのとはまた意味が違うよ…… お姉様を見てみると期待したような目で私をじーっと見てる 「ち、ちづ…… 千鶴……」 呼べた!! うわ、なんだろうすっごく恥ずかしい 呼び方一つでこんなに? 普通お姉様って呼ぶ方が恥ずかしかったりするんだろうけど私はそっちに慣れちゃってたからね 「優姫、その恥じらいながら私を呼ぶ感じ グッドよ」 親指を立てるお姉――千鶴 すごい笑顔だ 一日に一回見せてくれるかどうかくらいの笑顔だ 「やっぱり呼び慣れないと恥ずかしいですよ、千鶴」 「あとそれ、名前は呼び捨てなのに敬語っていうのはどうかと思うの それも直してくれるまでキスもえっちもしないわ」 敬語を、直す? いや、別に構わないと思うんだけど 呼び捨て+敬語でもいいじゃない でもおね――千鶴がそういうんだったら直すけど 「敬語じゃなく…… こんな感じでいいかな?千鶴」 なんだかすごく対等になった感じ いいのかな、三歳も年上の千鶴相手に 「えぇ、いいわよ 可愛いわ優姫」 そう私を抱き締める 対等になった感じ、か 恋人ってこういうものなのかな? 恥ずかしいけど、確かになんだかこっちの方が恋人らしいと言えば恋人らしいよね
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