ビターな片思い

―１―

「だって部活の夏の大会で、鹿児島行って何泊もするからお金かかるんだもん」

私は口を尖らせ、少々愚痴も交えて答えた。

「だよねー。バレー部なんて沖縄だからもっとやばいし。飛行機代が……」

そんな話をしていたら、加奈まで頭を抱え始める。

「まっ！　多分親がだしてくれると思うし大丈夫でしょ。……所で美希、良い求人情報あった？」

一人で自己完結したっぽい加奈が、私の携帯を覗きこみながら言ってきた。

「そだねぇー。
――あっこれ受けてみようかな！」

そう言って私が加奈に見せたのは、全国展開している居酒屋の一つだった。