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この坂を越えて行こう。
夏の向日葵に囲まれて、あの入道雲を目指して。
一歩一歩踏み締めて、隣にいる君と歩こう。
君は昔みたいにあの向日葵のような笑顔を見せることはなくなったけれど、二人とも今が幸せ。
やっと掴んだ平穏。俺たちはそれを噛み締めよう。
出会った頃は同じぐらいだった身長も今ではずっと俺が高い。
姿の変わることのない君はそれを羨ましそうに見ていたね。
長かった。
街を壊されてから、今という瞬間まで。
不思議そうに俺の顔を見ている君の頭をくしゃくしゃと撫でると、嬉しそうに微笑んで俺の手をその小さな手で掴んだ。
さぁ、この坂を越えて行こう。君と二人っきりで、この終わった世界を見に行こう。
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