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第一村人発見?
――おはようございます
玄井です
一時間程惰眠を貪ったものの
状況は相変わらず意味不明
現代っ子よろしく携帯を弄ろうにも圏外
本格的にやる事がない
もっとも やる気がないのだが
「仕方ない…か」
―このまま夜を迎えるわけには行かない
ようやく重い腰をあげる
回りを良く見回してみると
遠くの方になにか動くものが見える
不審に思いつつ影の方に歩み寄る
それ以外なにもないから
「あの~…すいません」
話し掛けた途端 影は糸が切れた人形のようにパタリと倒れてしまった
「人か!? だ、大丈夫ですか!!」
慌てて駆け寄り 俯せの人を揺すり起こす
―ヌルッ いやな感触 生臭い臭い
「血が!?酷い傷だ…!!」
女性なのがかろうじて確認できた 血まみれで顔もよく見えない
ふと右腕に違和感を感じる
「…毛?」
女性の右腕は緑がかった白い毛に被われていた
「ひっ…!?」
思わず飛びのく
携帯のライトで照らされた彼女の身体は
明らかに人のそれではなかった
角の生えた頭 柔らかい体毛に被われた右腕
「なんだよ…これ?!」
恐怖が心を蝕む
目の前には動かない人の形をしたなにか
ただの人間かもしれない
その考えを頭の角が掻き消す
超展開もいい所だ
「……っ!」
ピクリと目の前の何かが目を覚ます
体が動かない
何かがゆっくりとこっちを向く
「助…けて…」
「…え?」
彼女はそれだけ言うと、地面に突っ伏してしまった
いまいち状況が飲み込めない
しかし不思議な事に、さっきまでの恐怖は嘘のように消えてしまっていた
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