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このままでは埒が開かない
幸い気を失っただけの様なので、布団に運ぶ事にした
もう恐怖はなかった
助けてと言った、あの時の表情が頭から離れない
絶望に満ちた、絞り出したようなか細い声
あんな顔をされて無視出来るほど自分は冷たい人間じゃない
布団を裂いて即席の包帯を作り止血する
今出来る精一杯の応急処置だ
「人でもいれば…」
近くの町の病院に連れていってもらえるかもしれない
それに家に帰れる
―ふと辺りに炭火のような、肉を焼く臭いが立ち込める
近くに人がいるかもしれない
希望の光りがみえた
気がした
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