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萌木色に染まった木々が出会いと別れの季節を告げる。
馬にとっては出産の季節で、母馬は仔に慈愛の限りを尽くす。
千葉県千葉市若葉区の田舎道をさらに山の奥に入った場所に、流星乗馬クラブという施設がある。
ここでは定期的に“ホースセラピー”というものが行われ、全国から心身に障害を持つ人々が集まる。
ホースセラピーとは、馬を介在して人の心身を癒す、療法的活動である。
馬の歩くリズムは、人の歩くリズムに似ていて、跨がってバランスを取ることで無理なく筋肉を使い、且つ柔軟性も得ることができることから、乗馬には身体のリハビリ効果が期待できる。
また、自分より大きな動物を操ることや、馬と言う優しい動物を相手にすることで、自信や安らぎを得ることができ、精神的なケアも行うことができる。
ドイツでは既にこの療法が国家的に認められ、保険が適用されているために無料で受けることができる。
流星乗馬クラブには、フランスで『Handi Cheval』というホースセラピストの資格をとった、【星 光輝】(ホシ ミツキ)という従業員がいて、本格的な療法を行なっている。
「このコは“モカ”っていう馬だよ。 可愛いだろ」
星が厩舎で馬の紹介をしていると、ある一人の少年が目についた。
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