3人が本棚に入れています
本棚に追加
今までは仲の良かった友達が、突然アルフのことをからかい始めたのだ。
小学生にとって、自分達と違う存在というのは、好奇の対象だ。
悪気のない、知識のない言葉は時にもっとも残酷なものとなる。
「なんでアルフは自分で歩かないの?」
たったそれだけ。
たったそれだけの言葉が全ての始まりだった。
何故自分はみんなと違うのか。
何故足が動かないのか。
今まで当たり前だと思っていたことが全て苦しみに思えてくる。
いつしかアルフは外に出なくなってしまった。
外に出なければ、みんなと違うことを実感せずに済むから……
そして、今日。
アルフの両親は、なにかアルフの変わる切っ掛けを掴めればと考え、ここにやってきたのだ。
アルフは再び黙り、今度は母の言葉にも耳を貸さなくなった。
「少し待ってみましょう。 アルフ君の気持ちが変わるかもしれませんから」
そう言うと、星は黙ってアルフの車椅子を押し始めた。
馬たちが放牧されている馬場の周りを一周することにしたのだ。
長い沈黙が続き、ついて歩いている母でさえ気まずくなっているというのに、星は気にすることなく歩き続け、アルフのとある変化に気づいた。
最初のコメントを投稿しよう!