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そして、アルフはその馬を見つめながら言葉を続けた。
『僕、あの馬に乗りたい』
その言葉は星の心を動かした。
何故この馬なのか。
この馬でなければいけないのか。
そんなことはどうでもよかった。
セラピー活動において、クライアントが自分の考えを話すことは重要である。
できるだけ応えてあげたいと言うのが星の思いだ。
「じゃあ、3年間時間をくれるかな。 そうしたらあの馬も脚が良くなって、君を乗せられると思うよ」
馬の第2の心臓とも言える脚を直すのに、3年という時間はあまりに短い。
そして、小学生のアルフにとって3年はあまりに長すぎる。
しかし、アルフはそれを嘆くことはない。
普通の人なら、痛そうに歩く姿から、脚に目が行ってしまう所を、アルフはその馬の瞳に惹かれていた。
いつも他人の視線を気にしていたアルフだからこそ気付いたのかもしれない。
その馬の瞳は、いつか思いっきり走りたい、という意思で満ちていることに――
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