horseplay

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 あのホースセラピーから3ヶ月    星は毎日朝早くクラブにやって来て、あの馬の脚の様子をチェックする。  そして、異常が見られなければ馬場へ出て曳き馬をする。    ゆっくりと、様子を見ながらの曳き馬は、五分もしないうちに馬が疲れてしまって終わりになる。    終わった後には脚のケアも欠かせない。  入念に脚を冷やし、固くなってしまった部位にはストレッチやマッサージを行う。        3ヶ月の間続けた運動だが、あの馬の歩様はいまだにガタガタで、とても人を乗せられるようには思えない。        この日も星は勤務時間前にあの馬の曳き馬をしていたため、昼休みになる頃にはもうクタクタだった。    そんな星の姿を見て、同僚は声をかけてきた。   「なぁ、あの馬はどうみても無理だろ。 幼い頃に運動してないから化骨が不十分なんだ」    馬は大体三歳頃には化骨が大体終わり、丈夫な骨格を持つようになる。  しかし、骨は刺激を受けないと弱くなっていってしまう特徴がある。    脆い骨に貧弱な筋肉をつけたあの馬の脚は、まさにガラスの脚       「それに、あの馬はオーナーの慈悲で生きてるようなもんだろ。 いつ処分されるかわからないんだぞ」    星には全てが痛いほどよくわかっていた。    しかし、星は決して諦めない。  諦めたら何も変わらないことを知っているから。
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