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そんな星の諦めない気持ちは、いつしか他の従業員の気持ちをも動かした。
ある日、昼の休み時間に食事を取っていると、新入りの男性従業員が話しかけてきた。
「星さん、いつも大変ですね」
「あぁ、だがやりがいはある。 先が見えないからこそ全力で尽くしてるのさ」
すると、その男性従業員は、一枚の写真を取りだし、星に差し出した。
その写真には、一頭の馬が写っている。
「この馬、元々は脚が外向していて乗馬には使えなかったんです。 でも、あることをしたら脚を気にしなくなって、今では乗馬クラブでお客さんをたくさん乗せてるんですよ」
外向とは、脚が外側に開いてしまっていて、上手くバランスがとれない状態である。
生まれつき脚が外向している場合もあり、その場合は脚にかかる負担が大きいため他の馬のように軽やかに動けない場合がある。
「どうやって直したと思いますか?」
男性従業員は笑顔で聞いてきた。
「献身的にリハビリしたんじゃないのか?」
星の答えに対し、男性従業員は首を横に振った。
そして、写真の馬の蹄を指差して答えた。
「蹄鉄ですよ」
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