挨拶

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今朝の騒ぎが、嘘のように平穏に時間が過ぎた。 今日、最後の終了チャイムが鳴る。  (この様子だと、今日安藤さんに会わずに、帰ることができそうだ。でも、朝のように校門で待ち伏せされるかもしれないから早く帰ろう) 横で無邪気に、話し掛けてくる渡部に俊幸は  「ゴメン、今日用事があるんだ。先に帰るよ」 「そうでありますか、また来週お会いしましょうぞ」 渡部は、ちょっとびっくりした様子だったが、それを無視して、俊幸は教室を出た。 急いで、帰ろうとはしていたが、走ってまで帰る必要はないかなと俊幸は思った。しかし、急いでいるのは確かなので早歩きで帰ることにした。 下駄箱につくと、時間も早いせいか、人もまばらだった。  (どうやら、安藤さんも五十嵐さんもいないようだ) 俊幸は、安堵のため息をつき、裏門に向かうことにした。  (裏門にもいないようだ) 裏門から下校する生徒は、俊幸を除くと一人しかいなかった。 (とりあえず、裏門出て、しばらく歩けば安心だろう)
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