最悪な朝

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「あーっ、ほんとむかつく!もう、しばらくあのコンビニには行きません!!」 午前の診療が終わり、職場であるデンタルクリニックの休憩室でお弁当を食べながら私は愚痴った。 「里沙子ちゃん、災難だったねー。私、モールは一人ではあまり歩かないよ。なんか柄悪い人多いし怖くて」 顔をしかめて同調してくれたのは、歯科助手の田中さん。 40歳には見えない若さで、頼れる姉さんだ。 「私もできれば通りたくないけど、駅からだとモール通るのが一番の近道だしなぁ……」 「この辺、治安悪いですからね。モールを避けて路地裏入ると、風俗店があったり外国人がナンパしてきたり危ないし。大通りを歩くのが一番安全だけど、ちょっと遠回りですよね」 衛生士の舞ちゃんは地元が近いため、この辺の環境に詳しい。 ここで働き始めたばかりの頃は、ホストのかわし方を教えてもらったりした。 22歳だけどしっかり者で、すっぴん美人だ。 「でもぉ、そのホストくんイケメンだったんでしょぉ?カナも見てみたかったぁ。いいないいな~」 「……」 鼻にかかった甘ったるい声で羨ましがるカナちゃんに、私は理解できずげんなりとした。 歯科助手のカナちゃん、27歳。 ぽっちゃり体型と、のんびりした喋り方が可愛らしい印象を受ける。 最初のうちは、私と同い年のカナちゃんが自分のことをカナと言ったり、「にゃん♪」と言っているのを聞く度に違和感を覚えていたけれど、今となってはもう慣れてしまった。 ぶりっこ甘えっ子キャラなのだ。 「私はホストとか興味ないですねー。格好いい人見たことないし」 本当に興味がないと言った声で、舞ちゃんが言った。 「じゃあ、じゃあ。もしもめちゃくちゃ格好良くて自分のタイプのホストくんが声をかけてきたらどうするぅ?」 しつこく食い下がるかなちゃんに、舞ちゃんは呆れ顔。 「もし自分のタイプの人で、すっごく格好良かったとしてもホストに興味はないです。自分の金を人に貢ぐなんて、絶対に嫌だし意味わかりません」
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