最悪な朝

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舞ちゃんは自転車、かなちゃんはクリニック近くの地下鉄、私はJR。 みんな帰る方向がバラバラなのだ。 大通りに出て駅まで歩こうか迷ったけれど、早く帰りたい。 仕方なく、モールを通ることにした。 モールの両脇には、カラオケ店やゲーセン、飲み屋などの飲食店が入った雑居ビルが立ち並び、夜でも明るい。 明るいけど、油断はできない。 ぼんやりしていると、ホストだけでなく風俗店のスカウトや柄の悪い人に声をかけられることもある。 私は朝と同じく、道の端っこを早足で歩く。 歩みを進めるうちに、朝に入ったコンビニに近づいてきた。 またうっかりあのホストに会ってしまったらと思うと、足どりが重くなる。 コンビニの逆側に寄り、小走りした。 通過する時にちらっとコンビニの前を確認すると、それらしき姿は見えなかった。 ほっとして、走るのをやめてまた早足に切り替える。 そうだよね、ホストはこれから仕事で忙しいはず。 この時間にうろついてキャッチををしているのは、お客さんが来ていないホストぐらいだろう。 レンというホストは、嫌な奴だけど売れているホストなのかもしれない。 朝の三人のホストの中で一番若そうに見えたけど、仲間のホストから“さん”付けで呼ばれていた。 一番偉そうだったしね……態度が。 信号がちょうど変わり、大きな横断歩道を渡る。 派手な水商売風の男女、会社帰りのサラリーマンやOL、色んな人々が行き交う。 横断歩道を渡り出した時、視線を感じて何気なく前方を見た。 数メートル先で、黒髪にサングラスのホストがこちらに向かって歩いている。 一目で気づく。 あいつだ・・・・。 逃げたいと思ったが、ここで走って逃げたらなんだか負けた気がする。 それに、あのときあちらは酔っ払っていたし、私のことなんて忘れているかもしれない。
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