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昨日とは打って変わって、晴れ渡った空から太陽の春先の暖かな日差しが、ぬかるんだイントールを照らしている。
昨夜は犠牲になった勇気ある村人と村長家族を惜しんだ後に、特産の酒を振る舞われ、ちやほやされながら気持ちよく呑んだわけだ。酒の旨いこと旨いこと。
「あっ……たま痛ェ」
しかし呑みすぎた。完全なる二日酔いだ。頭がかち割れそうなほど痛い。春の陽気も今となっては、目がチカチカして腹が立つ。
宿代わりに泊めてもらった家の玄関先で、背伸びをしていた。
そこへ、マーロウが今日の空のように晴れ渡った笑顔で駆け寄ってきた。
「旦那ぁ! お目覚めですかい」
「あー……、大きい声出さないでくれ」
「二日酔いですか? そりゃあ、すいやせん」
「それより、騎士の手配は?」
髪の毛をかき分けながら、マーロウに問う。昨日弾圧して裸同然にして縛り上げている盗賊共を、しょっぴく為、マーロウに白の騎士団の手配をさせている。
「えぇ、今朝に」
「そうか、じゃあ俺はそろそろ行くかな」
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