序章

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桜が舞う。 雪のように、それは綺麗に花びらが散る。 桜の横には、小さな子供がいて、楽しそうに木を見上げている。 「ねぇ、降りられないの? それとも、そこが好き?」 子供は首を目一杯に上に向け、何かに向かって呼びかけた。 「聞いてるの? …ねぇってばっ!」 子供が痺れを切らし、声を荒げたが相手は何も答えない。 それにしても、この桜の木は不思議だ。 こんなにも花びらを散らしているにも関わらず、まだ満開といえる状態を保っている。
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