序章

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桜が散り続ける中、子供は諦めたように言った。 「もういいよ、答えてくれないなら。 そのかわり、聞いてくれる? あのね、不思議な話を聞いたんだ」 ビュウッ 少し風が吹いた。 目の前が見えなくなるほどに、周りは桜色に包まれる。 「猫玉って言う名前、知ってる? ある時、この世界で不思議な話が伝わっていたの。 猫玉さんに頼めば、大切な想いを大切な相手に届けてくれるって」 子供が言う話は、この世界に伝わる伝説。 ―猫玉― 今では、人間なのか動物なのか、一体どのような存在であったかも定かではない。
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