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母親の葬式が済み、色々なことがあっと言う間に過ぎていく。
だが、郁はただ時間が流れるのを待つのを止めた。
「お父さん、今日は私が買い物に行くよ」
「…大丈夫か?」
大丈夫、と答えるかわりに、郁はカーテンに手をかけた。
…大丈夫。
私の止まった時間を、ここからまた始めるんだ。
シャッ
郁は一気にカーテンを開けた。
そして、そこに見たものは、綺麗な桜吹雪だった。
「う、ぅ…」
涙があふれて、そこに座り込んだ。
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