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郁を応援するかのように、どこからか桜が舞う。
こんなにも、窓の外が綺麗だったなんて。
「お姉ちゃん、どうしたの!?」
妹が、泣いている郁を心配して駆け寄ってきた。
「大丈夫よ、私は嬉しいの。
これからを、幸せに生きていこうって…
生きたいって思える心があることが嬉しいの」
もう、私は大丈夫だ。
今日はハンバーグにしよう。
母親の変わりにはなれなくても、私には私のやることがある。
郁は泣き笑いながら、窓を開け、外に出た。
それでもまだ、そこには桜の雨が降り続けていた。
―第一章 終―
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