第二章 帰る場所

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「そうか、平島さんに嫌われてると、この辺では厳しいからなぁ」 がっちゃんは、うーんと考え込んでいる。 「だから、コンビニの裏漁るのが一番効率いいんだよ。 1分でも賞味期限きれたら捨てちまうんだぞ? 貰ったってバチあたらんだろ」 毎日、食べていくことだけに力を費やす。 そこまでして、自分は何故生きていこうとするのか、それはわからない。 本能なのか。 「しんちゃん、今日の会合には行かないのか? 顔見せないと、立場悪くなるぞ」 「行かねぇ。 平島にへーこらへーこらすんのは嫌だからな」 この世界に来てまで、頭を下げるのは嫌だった。 まさか、ホームレスの世界にも上下関係があるとは知らなかったのだ。
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