第二章 帰る場所

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会合なんてクソくらえ。ここは、自由を求めた人間の集まりじゃなかったのかよ。 「もし二人分貰えたら、しんちゃんにもやるよ」 「いや、遠慮しとく。 がっちゃん最近痩せたろ? ちゃんと食べな」 進次郎がそういうと、がっちゃんは優しい顔で笑った。 がっちゃんの本名は知らない。ホームレスになる前に何をしていたかも、家族がいるのかも。 しかし、優しい人間であることはしっかりと伝わってくる。 ホームレスになったばかりの頃、進次郎にこの隠れ家を案内してくれたのもがっちゃんだった。 この世界で、俺みたいなはみだし者の相手をしてくれるのも、がっちゃんくらいだ。 皆、何かしらの事情をかかえてホームレスになっている。 俺だってそうだ。 がっちゃんも、平島も。
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