第二章 帰る場所

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がむしゃらに働いた10年間。 気付いたら窓際予備軍となり、地味な仕事をひたすらこなした10年間。 決して、使えない人間ではなかったと思う。 しかし、上司に好かれなかったことが全てを決めてしまった。 それが、どうしても許せなかった。 それまでに貯めた貯金を切り崩し、3年間は暮らしていたが、再就職する気は起こらず。 人並みの生活を捨てたって、時間や人間関係に悩まされずにすむならと、ホームレスになることを決意した。 「新入りかい? だったら、平島さんに挨拶しておきなよ」 まだ何も知らなかった頃、こうやって声をかけてくれたのも、がっちゃんだったっけ。
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