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龍希は慌ててカーテンを閉め、胸に手を当てる。
「落ち着け、落ち着くんだ龍希、これは蜃気楼か何かだ……」
しかし、ノックは依然として止まない。
龍希の考えは、ゆっくりになってより恐怖が増したその音にぶち壊された。
「こうなったらもう一回開けるしかない。行くぞ……1、2の……」
覚悟を決めてカーテンと窓を同時に開けると、やはりそこにはドラゴンがいる。先程と変わらない状況だったが、今回は窓で空間が遮断されていないため、より一層恐怖を感じる。薄っぺらなガラス一枚有るか無いかで、こうも変わるものなのかと龍希は思った。
「全く、人間の分際で二度手間を取らせるな」
そのドラゴンはいきなり失礼なことを言いながら窓に隣接している龍希のベッドに上がり込んで腰を下ろした。
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