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「お、おい」
ゴクリと喉を鳴らしながら龍希はそのドラゴンをまじまじと見詰めた。
尖った耳に犬のように長いマズル。その他は一昔前の貴族を連想させる豪勢な上着と長ズボンで見えなかった。だが後は足の指が短く手の指が長いだの、爪が尖っている程度で人間と違いは殆ど無く、身長も大して龍希と変わらなかった。
勿論、服装と同じく青をベースにした体表や長い尻尾など、どうしようもない違いは多々あったが。
「な、何だよお前は……!」
龍希は震えながらも訪ねる。高貴な服装と人間に近い容姿、そして言葉を喋ったことからいきなり襲われはしないだろうと踏んだのだ。
「そう怖がるな。確かにいきなりは無理かもしれんが、ゆっくり慣れるといい……」
紳士的で落ち着いた喋り方に反して声は意外と若々しいが、しっかりと高圧的だ。
「で、改めて聞くぞ。お前は何者だ」
深呼吸をして半ば無理矢理冷静になった龍希が訪ねた。
「我は見ての通りドラゴンだ。まあ正確には龍人というジャンルに属するが、そんなことはどうでもいい。我の目的は……」
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