Happy White Day!

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 氷になる直前の水の温度は冷たくて、俺は一気に体温、体力、気力を削り取られた。  息苦しくて、凍りつくような寒さに抵抗できなくて、だけど意識だけはハッキリしていたのを覚えてる。  そのとき、俺の服を何かがぐいっと引っ張り、川の流れに逆らった。  歪む視界の中で、俺が目にしたのは半裸のアイツだった。  生きたくて、生きたくて、俺は必死にもがいた。苦しかった。  息苦しさが頂点に達したとき、ふと、急に楽になった。  多分、意識を失ったんだと思う。  そして、俺が意識を取り戻したとき。俺は見たことのないところに放りだされていた。  後で知ったことだけど、俺は約三キロくらい流されていたらしい。  俺は大人たちに発見され、介抱を受けた。このときの俺はまだ、生きてることが嬉しくて嬉しくて、安心しきっていた。  しかし、安堵の眠りに付き、次に目を覚ましたとき、俺は疑問を抱いた。  何故、自分が助かったのか、と。  体に纏っている服を見て、俺は危惧した。  アイツはどうなったのか、と。  自分の体から血の気が引いて、青ざめていくのを感じた。  生きている事への安堵にも勝る危惧。俺は直ぐに家に帰れるよう、介抱してくれた大人たちに話をした。  俺が家に帰っても、アイツは家に居なかった。その数日後には、この世にも。  俺より遥か遠くに漂流していたアイツの体は半裸で、服は俺達が居た川べりに脱ぎ捨ててあったと。  知らされたくなかった。  アイツは俺を助けるために、自らの身をなげうったのだ。  勇気を振り絞って。  アイツは俺を、何度も何度も助けてくれたのに。  俺はアイツに、何もしてあげられなかった。  アイツが大好きだったクッキーさえ、渡してやれなかった。 =====  
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