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「お前、アリシアって……死神族の王、アリシア・グラファイトか!?」
「……分からないです。一度出しますね。アリシア。」
奏がそう言うと、再びアリシアが姿を表した。そのアリシアを見た山下教官と刹那は余計絶句したようだった。
「呼んだか、奏?」
「二人が見たそうだったので。アリシアは有名だったんですか?」
そんな中、アリシアは何事もないように奏に話し掛ける。そんなアリシアに奏もまた何事もないように返していた。ある意味、良いコンビなのかもしれない。
「アリシア・グラファイト……。久しぶり?」
「鈴果か。久しぶりだな。」
そんなアリシアに鈴果は笑って挨拶をした。アリシアはそんな鈴果を思い出したのか言葉を返した。
「知り合いですか?」
「昔、鈴果の祖父の使い魔をしていた。あの祖父は紅蓮の魔導師と有名でな。暴れ甲斐があって楽しかった。」
「そうですか。」
ニヤッという笑いと共にアリシアは嬉しそうに話した。それに鈴果は肯定するように頷いている。そんな三人の様子に山下教官はまた驚きを隠せていなかった。
「山下教官。次の授業始まりますよ。鈴果、行きましょう。」
時計をチラッと見た奏はそう言うと、鈴果を連れて歩き出した。
奏の言葉にハッとなった山下教官は足早と教室に戻っていった。刹那はちゃっかりと二人の後を追いかけていた。アリシアはこの後が任務だと聞き、暴れられると嬉しそうにしていた。それに対して、奏は「僕一人で終わるかもしれませんよ。」と笑っていたのだが。
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