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キーンコーンカーンコーン
やば‥
私はチャイムが鳴ってしまった事に焦り周りの皆と次の授業の教室まで走って行った。
次の授業は技術。
走って技術室に着くと、奇跡的に先生が来ていなかった。
私も皆も心を撫で下ろした後に遅れて先生が到着。
ガラ
「おーい、皆早く自分の班の席に着けー」
先生の太い声が教室内に響き渡る。
私は渋々班の席に着いた‥
私の班は私以外が全て男子の班だった。
しかも男子の組み合わせが悪く、最悪な席順‥
「道具は各班に二つ渡す。各自協力して使えー」
先生がそう言いながら机に道具を置きに来る。
しかし私の意思には気が付かない先生は直ぐ様他の席に回って行ってしまう。
「よし、楽しい技術の時間だぞ~‥ククッ」
「晴香ちゃん、こっち向いて~」
「止めろよ、気持ち悪りぃな」
―‥始まった‥
「晴香ちゃん先使えば?ニヤ」
「‥‥ぅん‥」
私は先に道具を使う事を許された。
相手の不吉な笑みを成るべく視界に入れない様にしながら作業を始めた。
「よし、じゃんけんしようぜ!勝った奴は残りの道具使えて、負けた奴は晴香ちゃんに借りるってどうよw」
「えーまじかよ」
「いいねぇ、やろうぜ~」
私はどきりとし聴こえないふりをした‥
しかし、冷や汗をかく感覚が凄く分かる程に焦りを感じた。
「よっしゃ勝った~!」
「頑張れよ~w」
「うわっ、まじかよ‥」
彼等の大きな声に驚き終わりかけの作業の手を止め、顔を上げるとじゃんけんに負けた男子と目が合った‥
「ほら、早くしろよw」
「ひゅ~」
男子は茶化されて鬱陶しそうにしながらも、へらへらと『うるせぇな』とか言って居る。
私は急いで作業を終わらせた。
すると、男子が罰ゲームの遂行を始めた。
「晴香ちゃん、良かったら次貸してくれない?」
「‥‥、」
私は相手の目を見ずに頷いた。
見たら、悔しくて泣いてしまいそうだったから‥
「うわぁ、超ウケるんだけどw」
「そのあとは?その後は?w」
「ねぇよ!w」
‥それを見て私は心の中で思った
"私のせいで罰ゲームなんてさせてしまって、ごめんなさい"
この後、も彼等の茶化しは時々飛び交い続けた。
彼等に冷やかされる隙を作りたくない。
況してや技術の個人作業の時間は尚更だ
だから
手が開かない様に、
目を合わせない様に
下を向いたまま作業を続けた
授業が終わるまで。
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