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「何だ、そんなことかよ。
別に俺は悪いことした覚えはねぇよ、なぁ遼平?」
遼平はその通り!と、言わんばかりに首を大きく縦に振って頷いた。
「そんなことって何よ!
おばさんに怪我したって聞いて、すっごい心配したんだよ!(悲)
ほら、顔にだって怪我しちゃってるじゃん!(泣)」
美咲は細く長い綺麗な指をした手で、俺の絆創膏が貼られた頬を優しく撫でながら、涙を溜めた瞳で切なそうに俺を見上げた。
(...そんな顔で見るなよ
俺まで悲しくなるじゃねぇか...)
俺は美咲の頭を撫でながら優しく語りかけた。
「すまん、美咲。
心配かけて悪かったな。
もう俺からはケンカ売ったりしてないから安心しろ。
それに、この怪我だって名誉の負傷なんだぜ?
なぁ、遼平?」
美咲の涙にオロオロしていた遼平は、俺の急な問い掛けに慌てて答えた。
「.....あ、あぁ、そう、そうだよ、美咲ちゃん!
修司は悪くない!
むしろ、人を助けた正義の味方だ!」
美咲は制服で涙を拭いながら、遼平に尋ねた。
「...グスッ。
そうなの、遼平くん?」
「ああ、駅前を歩いてたら西高の奴らが路地裏に女の子を連れ込む姿が見えたんだよ。
俺は関わるなって言ったけど、修司が気になるって聞かなくてさ。
んで跡を付けてみたら、あいつら空きビルに女の子を閉じ込めて無理矢理ヤろうとしてたから、二人で助けに入ったって訳。」
遼平は大袈裟な身振り手振りと一緒に、美咲にわかるように説明した。
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