4、母と子

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「(永倉はんや、斎藤はんやったら、月に手ぇ貸すかもしれへんわ。)」 丞は中々鋭いカンを持っているからか。 月姫に力を貸している人物を推測とは言え特定した。 「(……誰かの部屋におるんやろか?ここからは永倉はんの部屋が近いか。)」 丞は永倉の部屋をそれとなくみた。 部屋の戸は少しだけ開けられていた。 あれならば人が中から外を覗けるだろう。 戸の近くには人の影も何となく見える。 「(永倉はんの部屋やろか。)」 丞は永倉の部屋に向かおうとした。 沖田に聞いても無駄なのは分かったから。 「……丞?」 ふと、名前を呼ばれた。 丞は永倉の部屋に向かうのを止め、声のほうをみた。 そこには守と歩がいた。 「何しとるん?」 歩は丞に聞く。 今、歩は守を泣かせた月姫を怒っている。 月姫を探していると言ったら、おそらく歩はいい気がしないだろう。 それが分かっているため、月姫を探していることを言おうかどうしようか迷っている。 「………何で言わないのですか?」 なぜ言わないのか分かっているだろうに沖田はわざと丞に聞いた。 何を考え、聞いてくるのか。 それが丞には分からない。
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