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「(永倉はんや、斎藤はんやったら、月に手ぇ貸すかもしれへんわ。)」
丞は中々鋭いカンを持っているからか。
月姫に力を貸している人物を推測とは言え特定した。
「(……誰かの部屋におるんやろか?ここからは永倉はんの部屋が近いか。)」
丞は永倉の部屋をそれとなくみた。
部屋の戸は少しだけ開けられていた。
あれならば人が中から外を覗けるだろう。
戸の近くには人の影も何となく見える。
「(永倉はんの部屋やろか。)」
丞は永倉の部屋に向かおうとした。
沖田に聞いても無駄なのは分かったから。
「……丞?」
ふと、名前を呼ばれた。
丞は永倉の部屋に向かうのを止め、声のほうをみた。
そこには守と歩がいた。
「何しとるん?」
歩は丞に聞く。
今、歩は守を泣かせた月姫を怒っている。
月姫を探していると言ったら、おそらく歩はいい気がしないだろう。
それが分かっているため、月姫を探していることを言おうかどうしようか迷っている。
「………何で言わないのですか?」
なぜ言わないのか分かっているだろうに沖田はわざと丞に聞いた。
何を考え、聞いてくるのか。
それが丞には分からない。
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